高まる食糧危機への不安
今、国際食糧市場では穀物の価格が高騰し、2008年のような食糧危機が再発するのではないかという懸念が高まっているという。
食糧危機といっても、日本ではピンとこないかもしれないが、2008年に食料品、特にパンやパスタなどの小麦製品などが軒並み値上がりしたことは記憶に新しいだろう。
その背景には異常気象によって世界の穀物の生産量が減り、生産国が輸出を控えたこと、穀物を原料としたバイオ燃料の需要が増加したこと、国レベルでの食糧買い占めが起きたことなどがあった。その結果、経済力の弱い国では多くの人が食糧難に直面した。
冷蔵庫の残菜は捨てるな!
現在の価格高騰は、アメリカで起きた干ばつのためトウモロコシや大豆などの生産量が落ち込んだことが原因だという。しかし、WFP(世界食糧計画)は2008年の教訓から、世界レベルで食糧危機の再発防止に取り組んできたと説明、各国に対して冷静な対応をよびかけている。
たとえば、2011年にG20が立ち上げた農業市場情報システムは、農業や食料品の市場を透明化し、不当な買占めを監視する役割を果たしている。また食糧の値動きが早い段階でわかるようになった。
世界の米と小麦の貯蔵量も2008年より増えており、当分の間は安定的な価格で供給できるだけの蓄えがある。
過度な不安から起こる買い占め、売り惜しみは、本当に困っている人にしわ寄せがいく。貧困地域で食糧の配給を行うWFPは、食糧価格が10%高騰するごとに、2億ドルの支援金を余分に調達しなければならない。
また、カズンWFP 事務局長は、世界で生産された食糧の3分の1が廃棄されていると指摘する。だれもが慈善団体に寄付をすることができなくても、食べきれる食糧だけを買い、無駄を省くことはできるのではないか。こうした小さな習慣の見直しが新たな食糧危機を回避することにつながるかもしれない。

国連WFP
http://www.wfp.org/stories/