エベレスト雪崩事故をうけて
登山家の野口健氏が5月5日ネパール、カトマンズで記者会見し、自身が理事長を務める認定特定非営利活動法人セブンサミッツ持続社会機構(以下、SSASS)から10万USドル(約1,020万円)をネパール山岳協に寄付すると発表した。ネパール山岳協会はこれをうけて、新基金を設立する。
(画像はSSASSより)
シェルパたちの過酷な現実
2014年4月18日に、エベレスト登山史上最悪の雪崩事故が発生した。犠牲になったのは現地で登山ガイドを務めるシェルパたちで、13名が死亡、3名がいまだ行方不明。負傷者は9名以上にのぼる。亡くなったシェルパたちにはおよそ40名の子供がおり、その多くは未就学児だ。
ヒマラヤ登山では多くの登山隊がシェルパのサポートをうけている。シェルパは遠征隊のためのルート工作なども行っており、それら遠征準備中の雪崩による事故は、シェルパの死亡原因の約50%にもなる。ある統計によれば、シェルパの死亡率はイラク戦争に従軍したアメリカ兵の死亡率の数倍にあたるというのだ。
不十分な補償
野口氏は2002年にSSASSを立ち上げ、「シェルパ基金」を設立した。シェルパ基金ではガイド中に亡くなったシェルパの維持の教育支援を行っている。事故で亡くなったシェルパへの補償が不十分だとの思いからだ。
今回の事故で亡くなったシェルパに対する補償金は、ネパール政府から約4万円、民間の保険からは約150万円が支払われる。さらにSSASSの寄付金からも補償金が送られる。
ネパール山岳協会はSSASSをはじめとする全世界からの寄付金をもとに新基金を設立する。基金は今後同様の事故が起きた際のシェルパ遺族に対する補償金に使われる。

認定特定非営利活動法人セブンサミッツ持続社会機構のお知らせ
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