あてのない旅 人身売買の犠牲者も
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、先週、ホームページでミャンマー、ラカイン州からの難民の多くが、国外脱出を求めて密航船に乗り、身の危険にさらされていると発表した。
ラカイン州では、昨年から仏教徒のラカイン人とイスラム教徒のロヒンギャ人の対立が深刻化しており、解決への糸口が見えないことを悲観した市民たちが、ミャンマーからの脱出を図っているものとUNHCRは見ている。
しかし、UNHCRによると、その密航船の多くは、最終的な目的地が定まっておらず、難民たちは海の上で先が見えない状況に置かれている。また、船長が要求するだけの賃金を払うことができない乗客たちは、人身売買のネットワークに引き渡される可能性もあるという。
さらには、海上事故も多く、昨年だけで少なくとも485人の難民がベンガル湾で亡くなった、あるいは行方不明になったという。
見えにくい難民たちの本当の姿
これまでのところ、難民たちの多くは、単身の男性だといわれているが、一方で女性や子どもたちも増えていると見られている。
しかし、海上にいる難民たちの実態については、まだ把握できていない部分が大きい。UNHCRは、実態の解明を急ぎ、これ以上多くの人々が密航船に乗るのを阻止したい考えだ。
また、地方政府の政治運営を健全化させるよう、ミャンマー政府に呼びかける一方で、来たる3月には、アジア太平洋地域の政府関係者や海事関係者らを集めた円卓会議を開き、密航防止について話し合うことを予定している。

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)
http://www.unhcr.org/50f028369.html