まだまだ遠い道のり
WHO(世界保健機構)は17日、「世界マラリアリポート2012」を発表した。それによると、2010年の世界のマラリア罹患者数は2億1900万人で、そのうち66万人が亡くなっているという。死亡者の大半は5歳以下の子どもだ。
国連ミレニアム開発目標では、2015年までにマラリアの発生を阻止しその後発生率を下げることを目標に掲げている。WHOとパートナー団体がさまざまな対策を講じてきた結果、世界全体でみるとマラリアの発生件数は過去10年間で58%減少している。
しかし、今回発表したリポートでは、この減少ペースが落ち込んでおり今後の状況しだいでは、沈静化した国でもまたマラリアが流行することも考えらえると警告している。
必要額の半分以下
世界保健総会では、マラリア発生国のうち、とくに状況が深刻な50か国での発生率を、2015年までに2000年比で75%減らすことを具体的な数値目標としてかかげている。しかし、この50か国については、現時点での減少率は、わずか3%にとどまっているのだ。
WHOは減少ペースが落ち込んでいる理由について資金不足をあげている。2009年以降、マラリア予防のために集まる寄付は減少しており、殺虫剤散布や防虫ネットの寄贈などの予防対策が十分にできていないという。
WHOはマラリア予防、診療、治療を徹底するには、年間51億ドルが必要だと見積もっている。しかし、2011年に実際にマラリア対策に使われたのは、その半分以下の23億ドルにすぎなかった。これには当事国内での負担も含まれている。
マラリアのおもな発生国は、アフリカ、東南アジアなどだ。これらの国は、政情が不安定であり、マラリア対策には国外からの財政支援が必要だとWHOは訴える。

WHO
http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2012