貧困から起こる子捨て
世界の最貧国の一つといわれているハイチでは、国民の55パーセントが世界的な貧困ライン以下、一日、1.25ドル以下で生活している。
こうした事情から、子どもの養育を放棄する親が後を絶たない。2010年の大地震が起きる前でさえ、実の家族と一緒に暮らせない子どもが数千人いるといわれていた。現地でこうした子どもたちを保護している機関Institut de Bien Être et de la Recherche Socialeは、2010年から2011年までの間に、9000人の子どものケースを扱ったと報告している。
Institut de Bien Être et de la Recherche Socialeはこうした子どもたちを、できる限り親戚の家や里親の家など、家庭に近い環境に戻すためのコーディネートをしている。
少しずつ笑顔は戻ったが
ポルトーフランスの郊外に暮らす7歳のミッシェリンは、実の父親に養育放棄され、死の病に侵されていた母によって施設に預けられたが、Institut de Bien Être et de la Recherche Socialeの仲介によって、おばのところで暮らすようになった。
おばはのオネザイルさんは、姪と会ったときのことをこう語る。「彼女は最初に来たとき恥ずかしがり屋でした。何も言葉を話しませんでした。想像もできないくらい痩せて、栄養不足から髪の毛も抜けおちていました」。
そんなミッシェリンも少しずつおばの家族のなかにとけこんでいる。料理を手伝うのが好きで、手伝いをやり遂げたあとは控えめに笑ってみせる。
家庭のぬくもりにふたたび触れることができたミッシェリンだが、この先も道は険しい。おばたちの家庭も決して余裕があるわけではなく、自分たちの家族を食べさせるのに精いっぱいなのだ。Institut de Bien Être et de la Recherche Socialeは、ミッシェリンのもとへの訪問を続けており、今後は何らかの手当てを支給する必要があると判断している。
ユニセフはこうした活動を支えるべく、Institut de Bien Être et de la Recherche Socialeに今後、資金援助、技術援助をしていくことを決定している。

ユニセフ
http://www.unicef.org/infobycountry/haiti_66217.html