過去最悪のペースで密猟増
今年に入ってから南アフリカで密猟者によって殺されたクロサイの数は、今月半ばまでで445 頭に上り、過去最悪のペースになっていることが世界自然保護基金(WWF)の発表でわかった。
この背景には、アジア地域での需要の高まりがある。サイの角は特効薬の原料になるといわれ、高値で取引されているというのだ。とくに2010年に国内でサイが絶滅したベトナムでは需要が高いという。
これに対してWWFは、クロサイを守るために、2003年から南アフリカでクロサイの生息地拡大プロジェクトを展開してきた。これは、密猟が頻発している地域から、約1500キロ離れたリンポポ州の自然保護区内に移すというものだ。
プロジェクトリーダーのジャック・フラマンド博士によると、これまで130頭以上のクロサイが、新しいすみかに移り、保護区内で40頭以上の新しい命が誕生したという。現在、16万ヘクタールの保護区内で、8つの新しい群れが確認されている。
ストレスは最小限
それにしても、巨大な体のクロサイをどうやって、遠く離れた土地に移動させているのか?じつはヘリコプターを使って空輸しているのだ。ヘリコプターから宙吊りになるクロサイはさぞかしドキドキしているのではないかと思うが、さまざまな専門家たちの協力によって、極力ストレスがかからないように配慮されている。そのことは血液検査の結果によっても証明されている。
このプロジェクトを10年間指揮してきたフラマンド博士は、「自分が生きている間にクロサイが絶滅するというような悲劇が起きてほしくない」という。

世界自然保護基金(WWF)
http://wwf.panda.org/