下痢でも命とりに
今月13日にユニセフが発表した推計によると、1990年の時点で1200万人だった5歳以下の乳幼児の死亡者数は、2011年の時点で690万人と大きく減少していることがわかった。
過去20年平均の1日あたりの死亡者数を見ると、21年前までの統計にくらべて、1万4000人も減ったことになる。これはユニセフやNGO、各国政府の連携による医療活動の成果といえるだろう。
しかし一方で、いまだに毎日1万9000人の子どもが亡くなっているという現実も忘れてはならない。世界的にみると5歳以下が死に至る病気でもっとも多いのは肺炎、つづいて下痢だ。衛生状態がよければ防ぐことができ、適切な治療を受けられればすぐに回復するはずの病気で、途上国の多くの子どもたちが命を落としている。
ユニセフで長年、医療活動を行ってきたイアン・ペット氏は「まだまだ道半ば。これから乳幼児死亡率の高い国で、パートナー団体とともに全力で取り組まなければ」という。
一部の地域では増加傾向
乳幼児死亡率には、国の経済状態がてきめんに表れている。とくに顕著な減少が見られる地域は、所得が上がっている国だ。しかし、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国、南アジアでは逆に増加傾向にある。アフリカの同地域では今もなお10人に1人が5歳になる前に亡くなっている。
また乳幼児の死亡要因としては、栄養失調の問題がある。栄養失調で命を落とす5歳以下の子どもは、全体の3分の1にのぼるという。
ペット氏は「乳幼児の死亡を防ぐには、たんに医療サービスだけが向上すればいいというものではない、母親への保健教育、インフラの整備など周囲の環境にも働きかけていく必要がある」という。

ユニセフ
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