まずはお金持ちの周りから?
8月31日、フィリピン・マニラにて、ストリートチルドレンを支援するNGO、フィリピンの社会福祉開発省(以下DSWD)の職員らが集まり、ストリートチルドレンの支援のあり方をテーマとしたシンポジウムが開かれた。
DSWD職員の発表によると、フィリピンのストリートチルドレンは、推定24万6000人。これについて、DSWDはストリートチルドレン・ゼロをめざしたプロジェクトを展開しているという説明があった。しかし、その優先地域としてかかげている10地域は、いずれもマニラ首都圏のなかでも富裕層が多く住む地域で、ストリートチルドレンの数は他地域にくらべて少ない。
この地域の偏りについて、NGO関係者からは「なぜ裕福な地域ばかりを優先地域にしているのか?」という批判の声があがった。これに対しDSWDは「優先地域としてかかげた地域ではストリートチルドレンの姿が目につきやすいから、そこから進めていく」と回答するにとどまった。
子どもの人権無視「レスキュー」の実態
主催者のひとりNGOバハイ・トゥルヤンのキャサリン・シェリーさんは、「子どもたちが路上に出てくる背景には、スラムのなかでの貧困や家庭内での虐待の問題がある。そういった根本的な問題にアプローチしていかなければ、解決にはならない」という。
DSWDは、これまでも「レスキュー・オペレーション」と銘打った活動を展開してきたが、その実態は、路上にいる子どもを暴力でおどしながら車に乗せ、収容施設に監禁するという、子どもの人権を無視したものだ。
一方、多くのNGOは、子どもや家族のカウンセリング、貧困コミュニティでの生活再建プロジェクトなどに重点をおいて活動している。
政府とNGOの方針には大きなギャップがあるが、効果的な支援を行うためにはなんとか溝を埋め、協力体制を築いていきたいところだ。同様のシンポジウムは10月にも予定されている。
(編集部 野口和恵)

バハイ・トゥルヤン
http://bahaytuluyan.org/