仕事をさがしていた少年
ジンバブエに暮らすオーウェン君16歳は、今年から小学校の5年生になった。彼が8歳だった2004年、ジンバブエは深刻な経済危機に陥った。オーウェン君の両親は、仕事を求めて一年のうちにいくつもの農場を転々として働くようになった。
こうした生活のなかで、オーウェン君は落ち着いて学校に通うことができず、しだいに彼自身も学校へ行くよりも家計を支えるために農場で働くことを優先するようになっていた。
「両親と兄とぼくは、ずっと仕事をさがしてきた。もう勉強することはあきらめていた」とオーウェン君はいう。
年下の子どもたちにまじっての通学は気恥しさもあるだろうが、ひとまずオーウェン君が学校へ復帰できたのは、2009年からユニセフがジンバブエの政府、パートナー団体とともに取り組んできた教育再建プロジェクトの成果といえる。
教科書を一人一冊ずつ
新政府が発足した2009年、ユニセフの巡回調査で、ジンバブエの農村部にある94%の学校が閉校されていることがわかった。当時のジンバブエでは教師の給料、学校設備の修繕費用などが大幅に削減され、これらの費用を負担することができる都市部の裕福な家庭の生徒だけが教育を受けられる状態だった。
ユニセフらは支援基金を立ち上げ、農村部を中心に、建設中だった学校も含めて270校の教室、井戸、トイレ、手洗い場などを整備。10人に一冊ずつしかなかった教科書も新たに購入し、一部の学校では一人一冊ずつ行きわたるようにまでなった。また3200点の点字図書もそろえた。
しかし、今なおジンバブエでは基礎教育を受けられない子どもたちが大勢いる。今後も継続した支援が期待される。

ユニセフ
http://www.unicef.org/infobycountry/zimbabwe_65488.html