オリンピックの裏側で
UNHCRは、今後2年間、アフリカ、アジア、南米の難民キャンプで生活している15万人以上の若者に、スポーツ用品セットを配布することを決めた。
これはUNHCRと国際オリンピック委員会、韓国の一大企業、サムスングループが共同で行う事業で、UNHCRが選んだ20か国の難民キャンプで配布される予定。今月末に開催されるロンドンオリンピックに先駆けて、早くもインドと南アフリカでセットが手渡された。
セットのなかには、主要なスポーツ用品のほか、300人分のボール、帽子、シャツがそろえられている。地面にコートを書くためのチョークも入っていて、難民キャンプのなかでも、さまざまなゲームを楽しむことができそうだ。
たかがスポーツされどスポーツ
難民キャンプのなかでは、最低限の衣食住が与えられるものの、いつ母国へ帰れるかもわからず、仕事もない生活のなかでは、若者たちは無気力になり、自立心を失いがちになるという。また、紛争を目の当たりにした壮絶なトラウマを抱えている。
そのため、UNHCRはこれまでも、難民キャンプのなかで、スポーツや教育の機会をつくるように尽力してきた。特にスポーツはチームでプレーをすることによって、周囲の人間とつながることができるため、難民の若者たちの緊張感やトラウマをやわらげる効果もある。
国際オリンピック委員会会長のジャッグ・ロゲ氏は、「スポーツ用品の配布は、キャンプで生活を余儀なくされている若者に、スポーツを体験し、喜んでもらうことができはず」と語った。
(編集部 野口和恵)

UNHCR
http://www.unhcr.org/5006c8e06.html