売春を止めたら飢えるだけ
途上国で売春を行う女性について、あなたはどのように考えるだろうか? 身の危険と隣合わせの労働環境から女性たちを助けようと、これまで多くのNGOが手を差し伸べてきた。
しかし、効果を上げている団体は少ない。なぜなら、売春をやめても、女性たちにはほかに仕事がなく、その日の食事に事欠く現状があるからだ。こうした支援者と当事者の意識のちがいは、しばしばNGOと売春婦たちの間に軋轢を生む。
そんななか、HIV の予防活動を行う団体Aastha Parivaarの一員として活動するアヌ・スワミさんは、インド、ムンバイの売春婦たちから信頼を寄せられている。彼女自身も13歳のときからムンバイで、売春婦として働いてきた。
「エイズになったら体で稼げない」
Bill & Melinda Gates Foundationのブログで、彼女は世界に向けて自身の体験を語っている。両親のいないアヌさんだが、今は客の友人だった男性と結婚している。いったんは売春をやめたが、一家の家計が苦しいため、売春婦に戻った。
それから、アヌさんはAasthaに出会い、HIVのこと、原因、予防法について知らされた。Aasthaのスタッフから守ってもらったと感じたアヌさんは、ボランティアとして、自分が知り得た情報を、ほかの女性たちに広めるようになった。
彼女が売春婦たちに語る言葉は重い。「コンドームを使わなければ、もっといい金をはらってやると客はいいます。私は客がいくら払ったとしても、ノーと言いなさいと女性たちに言っています。自分の健康を守れなければ、もうお金を稼ぐこともできなくなりますから」
アヌさんは現在、コミュニティベースオーガナイザーとして毎月の手当をもらい女性たちの指導にあたっている。「今コミュニティの人たちは私を尊敬してくれる」とアヌさんはいう。

Bill & Melinda Gates Foundation
http://www.impatientoptimists.org/en/Posts/2012/07/