気候変動がもたらす飢餓
アフリカの砂漠の真ん中でグレート・グリーン・ウォールとよばれるプロジェクトが成果をあげている。
これはアフリカ連合が国連機関の協力を得て進めている、大規模な植林、農地化プロジェクトだ。
アフリカの砂漠地帯では、過去25年間、大きな気候変動に苦しめられてきた。降水量は、かつての3分の1以下に減少し、降水パターンも不規則になった。その結果、干ばつが増え、それまでの農業が成り立たなくなっていった。自給自足の生活を営んでいた人たちは、
栄養失調に悩まされるようになった。
こうした状況を打開するため、アフリカ連合に加盟する11か国が着手したのがグレート・グリーン・ウォール・プロジェクトだ。このプロジェクトでは、サハラ砂漠に木を植え、砂嵐を防ぐ防風林をつくる。森林は空気や土壌に潤いを与えるため、さらにその周辺で農地をつくり、作物を収穫しようというねらいだ。
砂漠の真ん中で酪農も
最終的には、幅15キロ、長さ7500㎞のアフリカ中央部を横断する巨大な緑の帯をつくることをめざしている。
まだまだ目標達成にはほど遠いが、すでにセネガル北部のコミュニティでは、人々が恩恵を受けている。WFP(世界食料計画)の報告によると、栄養失調の人々が多かった地域でトマトやナスなどの野菜が収穫可能になったという。さらに今年は、マンゴ、オレンジ、レモン、グァバ、リンゴなどの果物も収穫できる見通しだ。
今後は、段階的に牛ややぎの放牧を行う計画だ。肉や乳を得ることができれば、地域の人々の栄養状態を大きく改善できるほか、それを売って、現金収入を得ることもできるだろう。今後の展開に大きく期待したい。

WFP(世界食料計画)
http://www.wfp.org/stories/