香りから難民キャンプを変える
依然として内戦が続くシリア。今もなお、安全な地を求めて隣国へ逃れる人が後を絶たない。
そんななかで、UNHCRはヨルダンの難民キャンプで、ある変化が起きているとリポートしている。
ザアタリ難民キャンプで暮らすノーディン・イブラヒムさんは、木や金属の切れ端から小さな仮設の店舗をつくり、香水を売る商売を始めた。
イブラヒムさんは、昨年8月26日、爆撃の影響を受けて家を失った。妻と4人の子どもと 夜通し歩き、ヨルダンの国境を越えた。
難民キャンプでの生活が半年以上におよび、この場所で生活を建てなおすこと決め、数年前から手がけていた香水ビジネスに全財産を投資した。「香りからこの場所を変えていきたい」という。
5か月前にヨルダンについた21歳の男性は、アンマンの理髪店で働いたあと、ザアタリ難民キャンプで自分の店を開いた。彼の足には、まだ銃弾の破片が埋まっている。いつか故郷に帰ったら、「本物の理髪店」を開くのが夢だ。
テントを親戚の隣に移動して
こうして難民キャンプで始まった商売は単なるビジネスではない。当たり前の生活を送ることができなくなった難民たちにとって、希望へのかけ橋でもある。
現在、ザアタリ難民キャンプでは、約10万人の人々が生活している。UNHCRとそのパートナー団体は、こうした難民たちにテントや食べ物、水を提供してきた。教育や医療が受けられるような体制づくりも進めている。しかし、避難生活が長引き、難民たちの意識は、ここで生活を再建することに向いてきたという。
難民たちは、自分たちのテントを親しい友人や、親戚の近くに移動させ、出身地ごとにまとまって、自助活動をはじめようとしているという。
昨年、シリアで銃弾に倒れたジャーナリストの山本美香さんは、生前「戦火に生きる普通の人々のたくましさが好きだ」と語っていたという。その言葉が思い出された。

UNHCR
http://www.unhcr.org/51407d7f9.html