子供40万人、女性3.7万人
インドで調理の際に多く使用されているかまどは旧式で熱効率が悪いため調理に時間がかかるという。さらに恐ろしいことにかまどから出る有毒の煙が呼吸器疾患を引き起こし使用者が死亡してしまうケースが後を絶たないという。家庭で調理を担当するのは主に女性であるため女性と子供の死亡が目立つ。かまどから出る煙の影響による年間死亡者数は女性が3万7千人、子供はなんと40万人にも達するという。海外サイト「Le Monde」他がこのことを報じている。
アメリカのマサチューセッツ工科大学では排煙の有毒性を抑えるタイプのオーブンを開発したが、実験室における運転実験とは違ってインドの村々では思ったほどのパフォーマンスを得られなかった。そのため政府やNGOの度重なる勧誘もむなしくこの新しいタイプのオーブンは根付かなかったという。
地元企業の努力
そこで立ち上がったのが2008年創業の南インドの企業「PRAKTI DESIGN」だ。同社は現場のニーズを徹底的にリサーチし、さらには販売戦略も練り汚染による健康被害を抑えるオーブンの普及に努めている。
まず重要なことは省エネであり、かつハイパワーであることだという。コストパフォーマンスを考慮すれば投資額が多少高くとも販売できるとの考えからだ。またハイパワーであることは調理時間の短縮につながるため調理を担当する女性にとっては嬉しいポイントである。
また国民性を熟知したスタッフは「地球環境を守りシロクマを救いましょう!」と説いても誰もオーブンは買わないだろうと述べ、「新しいオーブンを使えば衣服に煙のニオイがつきません。これは就職面接のときに有利ですよ」と言えば興味を持ってもらえるはずだと述べている。

Le Monde
http://www.lemonde.fr/PRAKTI DESIGN
http://www.praktidesign.com/