アラブの春の「その後」
2010年以降アラブ世界に起こった大規模な民主化要求運動、いわゆる「アラブの春」は本当の意味での民主化を為し得たのか否か等、「アラブの春」以降新たに発生した問題点について2013年度版世界人権年鑑が総括している。
国際的人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は先月31日、2012年の世界の人権に関する報告をまとめた2013年度版世界人権年鑑「ワールド・レポート」を刊行した。
その中で、特に北アフリカや中東一帯で起こった民主化要求運動の「その後」に焦点をあてており、アラブの春以降成立した新政府のあり方について考察している。
image by Magharebia人権を尊重できるか否か
総括によると、新政府が本当の民主化を実現するか新たな「独裁」を生むかは人権を尊重できるか否かにかかっているという。新しい指導者は手にした権力を行使したくなるのも当然であるが、少数派や女性など万人の権利を損なうことなく統治していかなくてはならないと指摘している。
人権を尊重する体制を築くのはたやすいことではないが、以下の4点が重要であると述べている。
・効果的なリーダーシップを取れる組織
・独立した裁判所の設立
・プロフェッショナルに徹した警察の存在
・人権と法の支配を蔑ろにする多数派に対抗しうるキャパシティ
世界人権年鑑はこの他にも世界90か国以上の人権問題を網羅した665ページにもわたるレポートである。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ
http://www.hrw.org/fr/node/113304