家族を支える少年に新しいサンダル
フィリピンの貧困地域や都市の路上で暮らす子どもたちのなかには、サンダルを買えず、裸足で生活している者が少なくない。ネグロス島は、フィリピンのなかでも特に貧しいといわれている地方だ。その島で、兵士たちが学校に通う生徒にサンダルを贈る活動をしている。
インクワイラー紙のインタビューを受けたミラフロア君は13歳。以前はぼろぼろになったサンダルをボンドやワイヤーで直して履いていたが修理することもできなくなったあとは、毎日裸足で30分歩いて学校に通っていた。
ミラフロア君は、5人兄弟のいちばん上。両親はサトウキビ畑の農繁期だけ仕事を得て、一日に240ペソ(480円)の収入を稼いでいる。これだけでは、一家が食べていくことがままならないため、ミラフロア君も学校が終わったあと、近所の人が営んでいる木炭づくりの仕事を手伝い、週に160~240ペソを得ていた。
勉強を続ける励みになれば
サンダルは、いちばん安いものでも60ペソほど。稼ぎを家族に渡してしまうと、手元にはお金が残らず、なかなか新しいサンダルを買うことができずにいた。今回、思いがけずサンダルを手に入れることができたミラフロア君は「これで、僕のことを気にせず、気持ちよく家族にお金を渡すことができる」と話す。
この活動は第11歩兵部隊の元指揮官のネメシオ・ガカル氏の提案によるもの。毎月90人の兵士と、教師、市民からの協力を得て、サンダルや学用品を生徒たちにプレゼントしている。これまでに3000足を贈ってきたが、最終的には1万足を贈ることをめざしている。
フィリピンでは経済的な事情から、義務教育の途中で学校をドロップアウトしてしまう子どもも多い。このプレゼントが、子どもたちが勉強を続けていくモチベーションになれば、と兵士たちは語る。
(編集部 野口和恵)

インクワイラー
http://newsinfo.inquirer.net/320513/