エイズ拡大は防げる
世界エイズデーを終えた先週月曜日、ビル&メリンダゲイツ財団にひとつの明るいニュースが寄せられた。世界でもっともエイズが流行しているといわれる国のひとつ南アフリカ共和国で、エイズのために亡くなる妊産婦と母親の数が劇的に減少していることを、同国保健省が発表したというのだ。
これは、国の政策によって、適切な治療を受けられる人の数が増えたためだという。南アフリカでHIVの治療を受ける人の数は、過去2年間で75%以上増えており、約170万人の人の手に治療薬が行きわたるようになったという。
また、HIV陽性の女性が妊娠初期の段階で、抗エイズウィルス治療を受けやすくなったことで、HIVに母子感染して生まれてくる子どもの数も劇的に減っているという。
「HIVの国」のイメージ払しょく
若年層のHIV感染が多い南アフリカではこれまで、生後まもなく両親がエイズで亡くなり孤児になる子、母からHIVに感染して生まれてくる子が後を絶たなかった。
しかし、ワールドカップを開催できるだけの経済力をつけてきた同国は、今後の経済発展とイメージアップのためにも、エイズ予防とHIV治療拡大にテコ入れするようになった。
過去2年間で、南アフリカ政府がエイズ予防、治療のために投じた額は、国家予算の規模からすると破格の16億ドル。しかし、国の将来を担う子どもたちが健康に生まれ、母親の手で育てられるようになると考えれば、これは賢い投資といえるだろう。
今回の南アフリカの成果が、ほかの国のエイズ対策にも良い影響を与えていくことを期待する。

ビル&メリンダゲイツ財団
http://www.impatientoptimists.org/en/Posts/2012/12/