社会の弱者に救いの手を
11月8日付けの仏紙「ELLE」電子版では、確実に進んでいるフランス社会の貧困化、特に女性がその被害者となっている実態について報じている。
経済的に不安定な状況の中で生活する人が増加するなか、人道支援NGO「Secours Catholique」(カトリックの救済)が貧困に関する年次報告書を公表した。
Secours Catholiqueは、国際的に広く人道支援を行う「国際カリタス」に属する団体であり、特に貧困問題や社会正義の推進に取り組んでいる組織である。公表された年次報告書によると、昨年この組織の援助を求め門をたたいた人は142万2000人、そのうち子供は66万8000人であったという。
貧困の割合は女性の方が高い
この団体が支援の手を差し伸べた人の94パーセントが貧困線(最低生活を維持できるか否かの統計上のボーダーライン)以下の収入であったという。フランス社会の貧困化は固定化してしまった印象があり、Secours Catholiqueのような支援組織へ人びとがなだれ込む光景はここ3~5年の間に珍しいものではなくなってしまったという。
Secours Catholiqueの受益者のうち6割近くが女性であった。父親がおらず母親が一人で子供を育てているケースの増加の影響で、2011年には16万人ものシングルマザーがこの組織を訪れている。
シングルマザーに加えて若い世代の女性や、子供がいない55歳から65歳の女性もSecours Catholiqueに助けを求めにやって来るという。彼女たちに共通しているのは「雇用の不安定さ」である。パートなどの非正規雇用や失業が大きな問題となって彼女たちの生活を脅かしている。

ELLE電子版
http://www.elle.fr/Secours Catholique
http://www.secours-catholique.org/