従順な子どもが殺人マシーンに
世界で18歳以下の少年、少女たち約25万人が、強制的に軍隊の一員として働かされていることをご存じだろうか?
その多くは誘拐されたり、家族を殺されたりして、やむなく軍隊に従事させられているケースだ。とくに政情不安なアフリカのシエラレオネ、ウガンダ、中央アフリカ共和国などでは、子どもを戦場に送り人を殺させるという事態が常態化しているという。
国連が定めている「子どもの権利条約」では、18歳以下の子どもを戦闘に参加させることを禁止すると明記している。この条約には、世界の193の国と地域が批准している。上記の国も批准国であるにもかかわらず、子ども兵は依然として存在しつづけているという。
「ぼくも子ども兵士だった」
シエラレオネ出身のイシュマエル・ベアさんもその一人。12歳のとき、外出中に戦禍に巻き込まれ、気づいたときには、政府軍の兵士として人を殺すことを強要されていたという。3年後にユニセフに救出され、リハビリ・センターで生活した。現在は、子どもの権利を守るためのアドボカシー活動を行っている。
先週、ベアさんは、活動の一環として中央アフリカ共和国のリハビリ・センターを訪ねた。ここでは10歳から18歳まで45人の子どもたちを対象に、基礎教育、スポーツ、文化活動、職業訓練を行っている。そのなかには、少女もいた。
子どもたちが暴力、虐待、搾取によるトラウマを克服し、家族やコミュニティに戻るのを助けるのが、このリハビリ・センターの目的だ。ベアさんは、「戦争」「社会復帰」をテーマにしたディスカッションを開いた。「もし戦争が近くで起こったとき、もう二度と戦争に関わらないようにするにはどうしたらいいか、自分たちで考えてみよう」と子どもたちに語りかける。
元子ども兵が家族やコミュニティのなかで生活できるようになるまでには、少なくとも2、3年はかかる。長期間子どもたちをケアしていくためには、より多くの寄付が必要だとベアさんはいう。

ユニセフ
http://www.unicef.org/media/media_65585.html